【入線報告】マイクロエースのE10 2に関するお話。
昨日の近況報告でマイクロエースのE10についてのレビューをするということを書き忘れてしまっていた。せっかくなので今回取り上げていこうと思う。
このE10という機関車は1948年に酷使が続き老朽化が激しかった4110形の置き換え用に、板谷峠用の補機として製造されたタンク機であり、国鉄最後の新製蒸機でもある。実車は各地を転々とした後実働14年ほどで全車廃車となってしまった悲運の車両でもあるが、私としては一番好きな蒸機の一つであり、ちょうど最近板谷峠にハマり始めたこともあってずっと欲しいと思っていた。
だが、中々中古が出てこない。もう無理か…と諦めた矢先、年末に友人・後輩と運転会のために訪れたポポンデッタ東戸塚店でなんと2号機を発見。車番的に先輩の持っているものとも被らず、何よりここで逃したらもう二度と買えないかもしれない…という思いが頭をよぎり、思い切って12100円出して即購入、といった次第である。
模型について
中身はE10本体と、なぜか付属しているワム70000形である。なんで付属してきたんだろう?
第一印象は「随分とおデブちゃんだなぁ」。どうもこの車両は板谷峠の補機という立ち位置上高出力が求められたのか、タンク機にしては大径のボイラーを搭載することで1340psという国鉄のSLにしてはかなりの高出力を達成している。その代償として重心位置がかなり高くなってしまったからなのか、あるいは1250mmという小輪径の動輪のせいなのか、高速走行はかなり不得意で最高速度は65km/hに留まる。板谷峠は線形上高速運転には厳しかったのでこれぐらいの性能でも十分と考えられたのだろうか。
大径のボイラーにこじんまりとしたテンダー部・機関室という配置のおかげで本機の外観は非常に独特なルックスとなっており、不思議な魅力を醸し出しているようにも見える。
こちらは事実上の正面である後部の様子である。「は?」と思うかもしれないが、実はE10は庭坂機関区から「トンネルでの煙害軽減のための策を考案して欲しい」という要望を受け、運転関連機器を後ろ向きに配置した後進定位の形態となっている。そのためデフレクターに関しては最初から装備されていない。
後に通常の蒸気と同様前進定位の形態に改造され、米原~田村間の交直接続運用では苦労した乗務員もいたらしいが、後進でも前進でも違和感無く運用でき、転車台のないレイアウトでも運転が楽(?)ということはNゲージにおいては長所かもしれない。
使用感
早速走らせてみたが、動力の調子はまぁまぁといった感じ。基本的にはそこそこスムーズに動いてくれるものの、ジョイント部で接続不良を起こしてしまったり、ということも割とある。
この車両の最大の難点は集電機構・ギア周りの状態がかなり不安定だということ。分解自体はそんなに難しくないものの、ビスを2つ外して車輪を固定しているカバーを取り外しただけでギアの噛み合わせに影響が出てしまい、「通電はしてるのに走らない」という症状が発生してしまうのである。清掃やユニクリーンオイルをさしたりするために分解しなければならないということもあるので、正直この構造は迷惑としか言いようがない。私は両側のロッドを押さえて動輪が動かないようにしながら取り外す、というやり方で分解している。
また私の個体では起きていないものの、どうもシリンダー周りの部品(白丸で囲っている箇所)が取れやすいらしい。オンレールしたりするときにポロッと取れたりすることも考えられるので取扱いには少し注意が必要だ。
総評
ギア部分がデリケートだったり、オンレール時に注意を払う必要があったりと少々取扱いの面倒な車両ではあるが、私個人としては今回購入したE10には大いに満足している。
後部の前照灯は非点灯となっている。点灯化改造した作例もあるので今後は私のこたいについても点灯化工事を施工したいところである。
また前部のダミーカプラーについてはTNカプラーに換装したいところ。付属品として十連カプラーがついているもののアーノルドカプラーだし、カプラー部だけTN化すると少々不格好になってしまう。KATOのD51の先輪を使った作例が見つかったのでそのやり方でやろうと思う。
最後に、従輪部に集電板を取り付けて補助集電板とする工事も施工する予定である。本来は第1~第2動輪の上側に補助終電板があるのだが、小さすぎるし接触もあまりよろしくないようで、私は清掃しようとしたら片側の補助集電板を折ってしまった…